COLUMNコラム

法定相続分と遺留分の違いとは?仕組みと注意点をわかりやすく解説

2025.06.03

法定相続分とは?

法定相続分とは、民法により定められた相続人ごとの相続の割合です。相続人の構成により割合が変わり、遺言書がない場合や、遺産分割協議が整わなかった場合の基本ルールとして機能します。

主な法定相続分の例:

  • 配偶者と子:配偶者1/2、子1/2(子が複数いれば均等)
  • 配偶者と直系尊属(親など):配偶者2/3、直系尊属1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

これらはあくまで“法律上の目安”であり、実際の相続では遺産分割協議によって柔軟に調整されます。

遺留分とは?

遺留分とは、一定の相続人に法律で保証された「最低限の取り分」です。たとえ遺言書で「全財産を第三者に譲る」と書かれていても、配偶者や子などの法定相続人には一定の割合が確保されます。

遺留分が認められる相続人:

  • 配偶者
  • 子(またはその代襲相続人)
  • 直系尊属(親)

※兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

遺留分の割合:

  • 法定相続分の1/2が遺留分
    (例:法定相続分が1/2 → 遺留分は1/4)

法定相続分と遺留分の違いまとめ

項目法定相続分遺留分
根拠民法に基づく民法に基づく
適用される場面遺言書がない場合や協議が不成立の場合遺言や生前贈与により不公平が生じた場合
調整可能性遺産分割協議で変更可能原則変更不可。侵害された場合は請求可
対象者すべての法定相続人一部の法定相続人(配偶者・子・親)

注意点|遺留分侵害請求の流れ

遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求(旧・遺留分減殺請求)」を行うことで、金銭の支払いを求めることができます。これは相続開始を知った時から1年以内、または相続開始から10年以内に行う必要があります。

山城会計事務所のサポート内容

  • 遺留分を意識した遺言作成や生前贈与のアドバイス
  • 相続人間でトラブルが起きにくい分割方法の提案
  • 税務面から見た有利な相続設計の支援

よくある質問(FAQ)

Q1. 法定相続分と遺留分、両方もらえるの?
→ 遺言や分割協議の内容により異なります。遺留分は最低保証、法定相続分は協議が整わない場合の目安です。

Q2. 兄弟にも遺留分はあるの?
→ 兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。

Q3. 遺留分は現金で請求しなければならないの?
→ 原則、金銭請求です。遺産の一部を現物で渡すには当事者同士の合意が必要です。

Q4. 遺留分の請求には期限がありますか?
→ はい。相続開始および侵害を知ってから1年以内に請求する必要があります。

監修者紹介

山城 賢佑(やましろ けんすけ)
補助税理士|東海税理士会 東支部 登録番号:140461
クラウド会計・IT活用を通じて中小企業の業績向上を支援。相続・事業承継・税務コンサルティングに強みを持ち、上場コンサル会社での現場経験を活かし“頼れる参謀役”として経営全体を支援。

参考文献・出典一覧