COLUMNコラム

相続税の延納・物納とは？浜松市で知っておくべき納税資金対策

2025.12.09

静岡県浜松市にお住まいの皆様、または浜松市にゆかりのある方で、「相続税はかかるが、現金で一括で払えない」とお悩みではありませんか？

相続税は、原則として申告期限（相続発生から10ヶ月以内）までに、金銭（現金）で一括納付しなければなりません。しかし、相続財産のほとんどが不動産や非上場株式などの換金しにくい資産である場合、納税資金が不足し、納付が困難になることがあります。

このような場合のために、相続税法には「延納（えんのう）」と「物納（ぶつのう）」という特別な制度が設けられています。

このコラムでは、浜松市で納税資金の確保に困っている方のために、延納と物納の概要と違い、それぞれの適用要件と注意点、そして専門家（税理士）に相談すべき理由まで、詳しく解説していきます。

1. 延納（分割払い）とは？

延納とは、相続税を分割して納付する制度です。納税が困難な場合に、一定の利子税を支払いながら、年賦（ねんぷ）で時間をかけて納税することができます。

制度の概要と適用要件

項目	内容
制度の目的	現金一括納付が困難な相続人の納税負担を軽減する。
適用要件	以下のすべてを満たす必要があります。
① 金銭納付困難	相続税額が10万円を超え、かつ、金銭で納付することが困難な事由があること。
② 期限内の申請	申告期限（10ヶ月以内）までに、「延納申請書」と担保提供関係書類を提出すること。
③ 担保の提供	延納する税額および利子税の額に相当する担保を提供すること（不動産、有価証券、国債・地方債などが一般的）。
延納期間	原則として5年以内。ただし、不動産等の割合に応じて最長20年まで延長される場合があります。
利子税	延納期間中は、年率0.9%〜3.6%程度の利子税が発生します（担保の種類や期間、時期によって変動）。

延納のメリット・デメリット

メリット:
- 大切な資産（自宅や事業用不動産など）をすぐに売却せずに済む。
- 最長20年の期間をかけて納税できるため、資金繰りに余裕が生まれる。
デメリット:
- 利子税がかかるため、総支払額は増える。
- 担保を提供する必要があり、手続きが複雑。

【注意点】

延納の利子税は、納税のための金融機関からの借入れ（ローン）の金利と比較して、どちらが有利かを検討する必要があります。一般的には、低金利の金融機関からの融資の方が有利になるケースが多いです。

2. 物納（現物納付）とは？

物納とは、相続税を金銭ではなく、不動産や有価証券などの現物で納付する制度です。現在は、延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限り認められる、納税の最終手段と位置づけられています。

制度の概要と適用要件

項目	内容
制度の目的	金銭納付・延納によっても納税が不可能な場合の救済措置。
適用要件	以下のすべてを満たす必要があります。
① 延納によっても困難	延納を適用してもなお、金銭で納付することが困難であること。
② 期限内の申請	申告期限（10ヶ月以内）までに、「物納申請書」と物納財産目録などを提出すること。
③ 物納適格財産	物納できる財産の種類や順位（国債・地方債、不動産、株式など）が決められており、「管理処分に適した財産」であること（担保権などが設定されていない、利用制限がないなど）。
物納できる財産	国債・地方債＞不動産・船舶＞株式・証券など、順位が定められている。

物納のメリット・デメリット

メリット:
- 現金化しにくい財産を、売却せずにそのまま納税に充てられる。
デメリット:
- 適用要件が非常に厳しく、却下されるケースが多い（管理処分不適格と判断されるため）。
- 物納する財産の評価額は、税務署の評価に委ねられるため、市場価格より低く評価される可能性がある。
- 手続きが非常に複雑で、専門家による徹底したサポートが必須。

【注意点】

物納は、納税の最終手段であり、原則として延納を検討しても資金確保が難しい場合に限定されます。近年は要件が厳しくなり、適用が非常に困難です。まずは売却や融資、延納を優先して検討すべきです。

3. 延納・物納の検討は誰にすべき？

延納・物納の申請は、税理士に相談することが必須です。

税理士に相談すべき理由

延納・借入れの比較シミュレーション:
延納の利子税負担と、金融機関からの借入れ（納税ローン）の金利負担を比較し、お客様にとって最も有利な資金調達方法をシミュレーションします。
担保提供の手続きサポート:
延納に必要な担保提供財産の選定や、担保権設定の手続きをサポートします。
物納適格性の判断:
物納を検討する財産が「管理処分に適した財産」であるか否かを、税務の専門家として判断します。不適格な財産を申請しても、時間と労力の無駄に終わる可能性が高いため、事前の専門家による判断が不可欠です。
他士業との連携:
担保設定に必要な司法書士、物納財産の売却が必要な場合の不動産会社など、各種専門家との連携をスムーズに行い、ワンストップでサポートします。

山城会計事務所の納税資金サポートの特徴

山城会計事務所は、浜松市で地域の皆様の相続税に関するお悩みに寄り添い、安心できる解決策をご提供しています。

1. 初回無料相談で納税資金問題を診断

納税資金の不足は、精神的な負担が非常に大きいものです。山城会計事務所では、初回無料相談を実施し、お客様の財産構成（不動産の割合など）に基づき、納税資金の不足リスクを診断いたします。

2. 延納・融資・売却の最適化シミュレーション

お客様の相続財産の内訳や、資金繰りの状況を詳細にヒアリングし、延納、金融機関からの融資、財産売却の3つの選択肢について、税金と利子・金利負担を比較した最適なシミュレーションをご提供します。お客様にとって最も有利で、リスクの少ない方法を提案いたします。

3. 他士業・金融機関とのワンストップ連携

延納に必要な担保設定、または納税のための融資、財産売却が必要な場合は、信頼できる司法書士、金融機関、不動産会社との連携をサポートし、お客様の負担を最小限に抑えます。

まとめ｜浜松市で後悔しない納税資金対策のために

相続税は、原則10ヶ月以内に現金で一括納付が原則です。納税資金が不足する場合の「延納」や「物納」は、有効な手段ですが、特に物納は適用要件が厳しく、時間もかかるため、最終手段と考えるべきです。

まず優先すべきは、税理士と連携し、融資や財産売却、そして延納の可能性をシミュレーションすることです。

山城会計事務所は、浜松市の皆様が安心して相続を迎えられるよう、初回無料相談から親身にサポートさせていただきます。納税資金に関するどんな些細な疑問でも、お気軽にご相談ください。

FAQ

Q1: 延納の利子税と銀行ローンの金利は、どちらが有利なことが多いですか？

A1: 一般的には、銀行ローンの金利の方が、延納の利子税よりも低いことが多いです。延納は担保設定などの手続きも複雑なため、金利の低い納税ローンを利用できるのであれば、そちらを優先的に検討すべきです。税理士に相談して、正確な比較シミュレーションをしてもらいましょう。

Q2: 物納の適用は現在も難しいのでしょうか？

A2: はい、非常に困難です。物納は、延納によっても金銭納付が難しい場合に限られ、さらに物納財産が「管理処分に適している」という厳しい要件を満たす必要があります。実務上は、ほとんどのケースで却下されるため、物納申請を検討する前に、売却や融資、延納を優先すべきです。

Q3: 延納・物納の申請期限はいつまでですか？

A3: 延納・物納ともに、相続税の申告期限（相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内）までに申請書を提出する必要があります。この期限を過ぎると、原則としてこれらの制度を利用することはできません。

Q4: 不動産を売却して納税する場合、売却益の税金も考慮する必要がありますか？

A4: はい、必ず考慮する必要があります。不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課税されます。この譲渡所得税も現金で納付しなければならないため、売却益の全てを相続税に充てられるわけではありません。税理士に相談し、譲渡所得税も含めた正確な納税シミュレーションを行いましょう。